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NZ MoyaSystem

ニュージーランド在住のプログラマがあれこれ書くブログ

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残業には成長の実感が必要。成長がないならやる必要なし

ニュージーランドで再就職を目指すお気楽日記のつもりで始めたこのブログなんですが、「残業 100時間」で検索してやってくる方が、ひと月に約1000人もいます。ニュージーランドに関するワードでの検索流入全然ないんですよね……。こちらのエントリが異常にバズったんで当然ですけども。


nzmoyasystem.hatenablog.com


それにしても「残業 100時間」というキーワードがそんなに検索されているとは知りませんでした。筆者が残業しまくってたときでも、そんな言葉ググったことないんですが……。それだけ、長時間労働に悩んでいる方が日本には多いということなのでしょう。ここらで自分の残業に対する考え方をもう少しまとめておこうと思います。


残業は、やらずにすむのならそれが一番です。筆者は、なかば残業するのが前提となっているような日本のIT業界に嫌気が差したので、定時退社が当たり前の社会で再出発しようと決め、日本を離れました。


しかしときには、個人の努力に関係なく、どうしても残業しなければならないときもあります。重要なのは、その残業で成長できているかを見極めることです。これを怠ると、数年単位で人生を棒に振ることになりかねません。


たとえば、筆者はIT企業一年生のとき、新人プログラマとして毎日4〜5時間残業していましたが、これには意味があったと思っています。なぜならば、それまで一切プログラミングの経験がなかった筆者でも、それだけ量をこなしたことで、ウェブアプリを作成する基礎技術がしっかり身についたからです。その内容も、システムの根幹に関わる抽象度の高いものであり、プログラミング未経験の社員にしてはかなりハイレベルなものを任されていたと思います。仕事は難しく、ときどき先輩の厳しい指摘を受けて悔し涙を流すこともありましたが、日々成長できている実感がありました。


しかし、その後に経験した残業は地獄以外の何ものでもありませんでした。プロジェクトにバージョン管理システムを導入した経験を買われた筆者は「ライブラリ管理者」に任命され、社内テスト環境の管理と、できあがったプログラムをリリースするだけの仕事を延々とやることになりました。わかりやすく言えば、ひたすら大量のルーチンワークをこなすポジションに割り当てられてしまったのです。


今にして思えば、こんな単純労働なのになぜあんなに残業していたのか意味がわかりませんが、テストが自動化されていなかったり、バグ対応のためリリース頻度が極端に多かったり、プロジェクトが肥大化しすぎて諸々の自動化が困難だったりと、色々と理由があったのだと思います。月100時間残業するとどうなるに書いたエピソードはすべてこの時期のことです。


残業時間は、一年目とそれほど変わらなかったです。しかし、残業から受けるストレスは、確実に一年目よりも大きくなりました。毎日同じことの繰り返しですし、改善しようにもシステムが大きすぎて手に負えません。その上、緊急のバグ対応が発生すると、自分の都合とは関係なしに残業を強いられることまでありました。自分一人の力では作業量を減らすこともできず、どんどんモチベーションが薄れていきました。もっと早く辞めなかったことを非常に後悔しています。


部下を定時に帰す仕事術 ~「最短距離」で「成果」を出すリーダーの知恵~

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残業を通じて、新しいことを吸収できている、日々成長している感覚があるのなら、続ける価値はあります。量を重ねれば必ず質に変わります。1年経ったときに、こなした時間の差は実力の差になって現れてきます。もちろん極端な長時間残業は問題ですが、たくさん仕事を経験しておくことは、一般的に無駄にはなりません。部活の練習と同じで、多く仕事をこなした人が成長するのは自然なことです。


しかし、たとえ短い時間の残業であっても、何も成長を感じられない場合や、上司のマネジメントのミスのために業務量が増えている場合は、即刻転職を考えたほうが身のためです。あなたの人生は有限です。いくばくかのお金のために切り売りするような時間はありません。無能な上司に義理でつきあっている余裕もありません。もっと有益なことのために人生を使うべきです。あなたの実力をもっと発揮できる職場はいくらでもあります。


概して、新人のうちの残業ほど価値があり、年次が上がるにしたがって価値が低くなることになるでしょう。経験が浅いうちは伸びしろも多く、やればやるだけ吸収して仕事を覚えていくことになりますが、ある程度スキルを習得してからの残業は、単なる過剰労働でしかない可能性が高いです。すでにできることをたくさんやっても、得るものは少ないですから、時間の使い方を見直すべきです。


念のため付け加えておきますが、「成長のため」と新人に残業を強いるのは本末転倒で、やめるべきです。部活の例を引き合いに出しましたが、成長したければ自主練をするのが本来であって、指示されて居残り練習しても気分が乗らないのが普通です。筆者の場合は、たまたまプログラミングに強い興味があったので、くさらずに済んだだけです。本人にめちゃくちゃやる気があるのなら話は別ですが、新人を育てたいのならば、定時内の業務で育ててください。それができないのは上司の怠慢です。


まとめ

「残業 100時間」で検索してこられる方は、きっと、残業に意味を感じられていないのだと思います。有意義な残業をしているときは、考えるべきこと、吸収すべきことがありすぎて、残業の意味について考えるヒマなんかないはずですから。


「この残業に意味があるのか?」と考えている、その感覚を大事にしてください。どうせ残業するなら、自分自身が成長できるものにすべきですし、それができないのなら、職場を変えたほうが良いです。月100時間も仕事のために余計に費やして、その結果、多少の残業代しかもらえないなんて、こんなに悲しいことはありません。その時間をもっと、自分自身や、大切な人のために使ったほうが何倍も有意義です。


強調しておきたいのは、残業に意味があるかどうかを判断するのは他人ではなく、自分自身だということです。たとえ上司が「数年後に意味がわかるから、いまは我慢して頑張れ」とかなんとか言おうと、自分自身が無意味だと感じているなら無意味なのであって、他人の意見など関係ありません。自分の意志を押し殺しても意欲が続かずストレスがたまるだけです。


このエントリが「残業 100時間」で検索してきたあなたの目に届き、何かしらの指針となることができれば幸いです。皆さんに健全な勤労の喜びがありますように。


君はまだ残業しているのか PHP文庫

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